東日本大震災

悲しみに耐え、共に生きる-宮城・南三陸町

2011年03月21日
自宅跡周辺から探し出した荷物を持って避難所に戻る家族=宮城県南三陸町
自宅跡周辺から探し出した荷物を持って避難所に戻る家族=宮城県南三陸町
 東日本大震災で、愛する人や生まれ育った街を失った悲しみに耐え、生きている被災者たち。震災後、10日目を迎えても、大切な人に生存を知らせることさえできない人もいる。各地にはさまざまな支援の手を差し伸べる本県のボランティア。「頑張ろう」-。宮城県南三陸町の避難所には20日、家族、友人同士が肩をたたき、励まし合う姿があった。(報道部・板垣耕一、平吹浩志、鈴木悟)

山辺のおいに「無事」
 まさに「壊滅」としか言いようがない光景が広がる南三陸町。地図上の市街地は姿を消し、がれきの山だけがどこまでも続く。町内で最多の約1500人が避難しているベイサイドアリーナでは、被災者たちが布団にくるまり、薄暗い廊下で横になっていた。安否確認のため訪れる大勢の人たち。「生きていた」「息子はだめだった」。いくつもの喜びと悲しみが交錯する。

 「山形の方ですか」。1人の女性が記者に駆け寄ってきた。「山辺町のおいに無事を知らせたいが、電話番号も何も分からない。何とか調べる方法はないか」

 女性は、阿部たかこさん(62)。地震発生時、港から500メートルほど離れた自宅にいたが、高台に逃れた。現在は、町内の親族宅に身を寄せている。携帯電話はなく、山形のボランティアが来ると聞き、手掛かりが得られるかもしれないと足を運んでいた。

 阿部さんが覚えていた断片的な住所から、おいで山辺町要害の会社員鈴木幸治さん(56)の電話番号が分かった。阿部さんは記者の携帯電話で早速、鈴木さんの家族と連絡を取った。「大丈夫。だけど、お風呂にも入れないし、下着も服も1枚しかない」。ほっとしたのか、涙を流しながらその場にしゃがみ込み、声を詰まらせた。

 鈴木さんも伝言板などで阿部さんの安否を知ろうとしていた。テレビに映し出される町の惨状を目にして不安ばかりが募る日々だった。「着替えを送るなど、早く助けてあげたい」と語った。

 避難所生活を送る多くの人は震災後、1度も体を洗っていない。アリーナにはすえたようなにおいが充満している。妻が津波に巻き込まれ、行方不明になっている後藤吉夫さん(62)は「衛生状態は決して良くない」と訴える。その一方で「命があることを感謝しなければ。避難者たちはみんな同じ町の仲間。力を合わせ、生きていくことを考えなくては」と顔を上げた。

あつあつ玉こんににじむ涙-県内JC炊き出し
 「涙が出そう」-。南三陸町のベイサイドアリーナで避難所生活を送る会社員渡辺順一さん(30)は、県内の青年会議所メンバーが昼食として振る舞った玉こんにゃくとスープを味わい、うっすらと目に涙を浮かべた。渡辺さんにとって、震災後初めての温かい食事だった。

 炊き出しは日本青年会議所東北地区山形ブロック協議会が行った。メンバー約50人がおむつや衣類、絵本などを満載した10トントラックとともに現地入り。避難所2カ所で玉こんにゃくとスープ各2000人分を用意した。協議会の荒井寛会長は「避難所が必要な状態がいつまで続くのか心配だ。1日でも早く復興してほしい」と願う。

 炊き出しを仲介した山形県災害ボランティア支援本部のメンバーでNPO法人ディー・コレクティブ代表の千川原公彦さん(40)も立ち会った。千川原さんは「今回の災害は、県やNPOが知恵を出し合い連携しないと対応できない規模だ」と指摘。さらに「支援が一方的にならないように被災者の声を聞き、被災地が5年後、10年後にどうなるかまで考えて支援していかなければならない」と語った。
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