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第5部・高校生と共に (3)酒田光陵高・SKIES

2018/5/21 10:17
授産施設で作った弁当を校内で販売する酒田光陵高の生徒たち

 酒田市の酒田光陵高は、地域課題の解決に取り組む一般社団法人「SKIES(スカイズ)」を2月に設立した。

 同校は酒田商業、酒田工業、酒田北、酒田中央の4高校を統合して2012年に開校した。多様な実業科があり、地域や地元企業などからさまざまな相談や要望が寄せられる。

 障害者の所得向上や観光PRといった活動を重ねてきたが、資金が不足したり卒業して事業が途切れたりすることもある。応対する窓口を統一し、持続可能な組織にするため、旧酒田商業高の同窓会から助成を受け法人を立ち上げた。

 鈴木和仁校長が代表理事を務めるなど法人の役員は同校の教員ら、社員はビジネス流通科の生徒たちだ。「より実社会に近い形で生徒が運営し、大変さも学びながら法人を育てていく。教科書では得られない経験ができる」と鈴木校長。地域と学校をつなぐ役割を法人に期待している。

 一般社団法人「SKIES(スカイズ)」を立ち上げた酒田光陵高では、昼休みに校内で販売する弁当が好評だ。ソース焼きそば、オム焼きそばは200円、かつ丼、豚バラ丼、ナポリタンなどは250円と値段も格安。生徒や教員らが次々と買い求める。

 これらの弁当は授産施設で作っている。同校が進めてきた障害者の所得向上に向けた活動の一つだ。弁当は校内だけでなく市内のイベント会場でも生徒らが販売する。ビジネス流通科3年の村上玲奈さん(17)は「客とコミュニケーションが取れて販売の楽しさを知った」と話す。

 同校は2015年、日本政策金融公庫が全国の高校生から募集した「ビジネスプラン・グランプリ」に、授産施設でお菓子を作り、市公認キャラクター「もしぇのん」「あののん」をデザインした焼き印を入れて売るプランを提案し、ベスト100に選ばれた。

 さらに翌16年は、枝打ちした山居倉庫のケヤキを使って障害者施設が木工製品を製作し、販売する計画を考案。2年連続でベスト100に入った。

 こうした活動の中で法人設立の構想が浮上したという。学校が主体だと制約も多いが、社会貢献を絶やさないためには利益を生み出す経営の継続が大切だと、NPO法人の検討を経て一般社団法人に行き着いた。

 ビジネス流通科の生徒が社員の法人が地域からの相談の窓口となり、特色ある学科が多い強みを生かして校内で連携し、課題を解決する。例えば福祉施設で作る商品の開発を法人が手掛け、電子機械科の技術が必要な部分は力を借りるといった対応も考えられる。

 具体的な事業は練っている段階だが、既に着手あるいは予定している活動も多い。障害者の所得向上支援に加え、酒田市の外国人観光客向けホームページ(HP)の編集や外国クルーズ船の乗客を迎える手伝い、バレーボールVリーグ女子2部のプレステージ・インターナショナルアランマーレのグッズ開発・販売などに取り組む。

 「観光客向けHPのブログを通して酒田の良さを外国人に売り込みたい」とビジネス流通科3年の高瀬嘉蓮さん(18)。同科3年柏倉舞さん(17)は「活動を続けて後輩に伝えていく」と張り切っている。

 「高校生の力は大きい。外国人を迎えるにも、制服姿を見ると『どんな勉強をしているのか』などと相手がどんどん聞いてくる」と法人理事の梅津吉絵ビジネス流通科学科長。「地域と触れ合う機会を増やし、より良くする方策を考えて実践する場にしたい」と法人の今後を見据えている。

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