医療先進都市の実像~ロチェスター訪問団報告(1) メイヨークリニック〈上〉

2017年06月07日
 米ミネソタ州最大の都市ミネアポリスからハイウエーを車で約1時間半、畑と森林に囲まれた地方都市ロチェスター市に入った。広々とした郊外店舗が続く通りを抜けると、背の高いビル群が見えてくる。コンパクトにまとまったダウンタウンの建物の多くは、総合病院「メイヨークリニック」の関連施設だ。名実ともに市を支え、医療機器クラスター(産業拠点)の重要な役割を担っていることがうかがえる。

 ロチェスターの名前は知らなくても、医療関係者や海外の医療に関心のある人ならば、メイヨークリニックの名前は知っている。雑誌の病院ランキングで毎年のように全米トップに入るこの病院は、中東をはじめ世界中から患者が訪れる。病院のロビーは広々と明るく、壁のあちこちに絵画や彫刻が飾られ、ピアノの生演奏が響く。ホスピタリティーにあふれ、まるでホテルか市民ホールのようだ。

 137カ国から131万8800人―。この膨大な数字は、メイヨークリニック(ロチェスター市以外も含む)が2016年に受け入れた患者数だ。1日で採取する血液などのサンプル数は4万件に達するという。職員の説明によると、患者数の地域割合はミネソタ州内が80%、米国内の他州からが18%。国外はわずか2%だが、単純に計算しても国外から年間2万5千人以上が病院を訪れていることになる。

正面がメイヨークリニックが入るビル。建物内を通る通行システムが発達しているせいか、地上を歩く人はほとんどいない=米ミネソタ州ロチェスター市
正面がメイヨークリニックが入るビル。建物内を通る通行システムが発達しているせいか、地上を歩く人はほとんどいない=米ミネソタ州ロチェスター市
 メイヨークリニックは大病院を中核とした医療複合体だが、「患者のニーズが第一」という理念は1883年の創立以来一貫している。病院発のビジネス開発を担う「メイヨー・クリニック・ベンチャー(MCV)」の担当者は「医師は使命を持ち、理想に燃えている人が多い」と強調する。患者1人に対し、複数の診療科によるチーム医療が進められ、「患者が今までに体験したことがなかったような医療が行われている」と自負する。

 設備面も工夫が凝らされている。病院を中心に、患者用のショップやカフェテリアがあり、内部には患者が学べる施設や各宗教に合わせた礼拝室、病院の歴史をまとめた博物館などもある。一つの街が病院の中にできあがっているような雰囲気だ。

 視察後、吉村美栄子知事は「隔離された病院という感じはしなかった。そこにインパクトを感じた」と振り返った。ただ、日本と単純に比べることはできない。自由診療で高額の医療費を収入として見込める米国と、保険診療をメインとする日本では病院の経営面に大きな隔たりがある。日本の地方病院が黒字を出すことさえ難しい中で、山形でメイヨークリニックのような規模の経営はできるのだろうか。

 「値札のないすしを見た感じ。確かにおいしいけれど」「病院としての利益幅が全然違う」。訪問団には、そういった感想を持つ医療関係者がいた。「日本で自由診療を拡大できるのか、富裕層の再投資を求められるのか。訪問団にはこれだけのプロフェッショナルがいる。知恵を出し合いたい」。根本建二山形大医学部付属病院長はそう語った。
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