医療先進都市の実像~ロチェスター訪問団報告(6) 成長する都市

2017年06月13日
ダウンタウンの夜景。奥に見えるのがメイヨークリニックが入るビル=米ミネソタ州ロチェスター市
ダウンタウンの夜景。奥に見えるのがメイヨークリニックが入るビル=米ミネソタ州ロチェスター市
 米ミネソタ州ロチェスター市の人口は11万6千人。同州の人口規模ではミネアポリス、セントポールに次ぐ3番目の都市で、面積は約103平方キロメートル。本県で言えば、人口は酒田市、面積は天童市に近い。全米屈指の総合病院メイヨークリニックが本部を置くロチェスター市は、人口と雇用の面で非常に高い成長率を保ち、雑誌の「住むのに最も良い場所」ランキングで常に上位に位置している。

 ダウンタウンを上から見ると、この都市がメイヨークリニックによって立っていることが分かる。中心部の病院関連施設から、クモの巣のようにスカイウェイ(空中回廊)とサブウェイ(地下道)が張り巡らされ、東側を流れるズンブロ川を越えて市役所や市民センターなどの行政関連施設にたどり着く。

 訪問団が市役所を訪れると、出迎えたのは在職15年目というアーデル・ブレード市長。「都市規模を広げずに、人口密度を上げる。患者の視点で見ても広げない方がいい」。懇談で彼はそう語った。

 米国中西部の諸都市は主に重工業を産業の中心にしているが、ロチェスター市はハイテク産業都市として位置付けられている。米IT大手IBMが建物の色から「青い動物園」と呼ばれる巨大な工場を稼働するほか、プログラミングといったコンピューター関連産業も発達している。しかし、最大の雇用主はやはりメイヨークリニックだ。約3万5千人が病院関連で働いている。

ロチェスター市役所を訪問し、懇談する佐藤孝弘山形市長(左)ら=米ミネソタ州
ロチェスター市役所を訪問し、懇談する佐藤孝弘山形市長(左)ら=米ミネソタ州
 ダウンタウンにあるホテルも病院との連携を強めている。ダブルツリー・バイ・ヒルトンのミッチェル・スミス支配人は「(宿泊する)患者は家族のような扱いをするように心掛けている」という。患者の宿泊料は5%引きとするサービスも行っている。「宿泊客の約6割が個人患者。そして2割が病院に仕事に来た人で、観光などは2割程度」と説明する。

 ロチェスター市には4千メートル弱の滑走路を持つ国際空港があるが、ここを運営しているのもメイヨークリニック。年間30万人が利用しており、7月にはアトランタからデルタ航空の直行便も乗り入れするという。中東からは富豪たちがプライベートジェットに乗ってやって来る。空港までも病院が管理していることに驚かされる。

 市役所職員の説明によると、1980年の人口は5万6千人だったという。現在はほぼ倍まで増えているが、市側も最大の要因はメイヨークリニックと認める。アーデル・ブレード市長は「病院の調査によると、患者は時間の3割を治療に充て、残りの7割は病院以外で過ごすという。市としては彼らに快適に過ごしてもらう責任がある。ホテル、レストラン、娯楽施設を充実させなければならない」と強調する。

 メイヨークリニックは2013年、約3300億円を拠出し、行政の支援を受けて「20年計画で同市を世界に無二の医療クラスターにする」と発表した。それが、総合医療の滞在型目的地の実現を目標に掲げたプロジェクト「ディスティネーション・メディカル・センター(DMC)」構想の発端だった。同市のダウンタウンは今、文字通り生まれ変わろうとしている。
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