医療先進都市の実像~ロチェスター訪問団報告(5) スカイウェイアクセス

2017年06月11日
患者の利便性などを考えて造られたスカイウェイ=米ミネソタ州ロチェスター市
患者の利便性などを考えて造られたスカイウェイ=米ミネソタ州ロチェスター市
 米ミネソタ州ロチェスター市の中心部で、総合病院メイヨークリニックを訪ねる際に外を歩く必要はない。ホテルや銀行など患者が必要と思われる建物は全て、地上2階のスカイウェイ(空中回廊)か地下1階のサブウェイ(地下道)で結ばれているからだ。このアクセス方法自体は、ミネソタ州でそう珍しくはなく、ミネアポリスでも見掛ける。だが、ロチェスター市の場合は病院と結ぶことで相乗効果を上げている。

 スカイウェイアクセスは、訪問団が宿泊したホテルの2階にも接続されていた。空中回廊への入り口は開き戸式の自動ドア。段差はなく、車いすでもスムーズに進むことができる。空調も効いているようだ。銀行ビルで地下に降り、サブウェイへ。頭上に細かく案内板があるせいか、迷うことはない。「もうメイヨークリニックです」。案内の職員から言われなければ気付かないほど、いつの間にか病院に入っていた。

 米ミネソタ州ロチェスター市のサブウェイ(地下道)沿いには、軽食を出す店舗が軒を連ねている。留学先のメイヨークリニックの研究室まで車で通っているという冨田恭子さん(山形市出身)は「駐車場から研究室まで外に出ずに行ける。途中にカフェがあるのもいい」という。行き交う人の数は多く、閑散とした路上がうそのようだ。

 病院側もこの通行システムを上手に活用している。壁面を使って「患者のニーズが第一」という理念を紹介するほか、患者やその介護者に健康状態を改善するための情報を伝える「患者教育」のセンターが設けられている。つえや車いすなどの医療補助器具を販売する店、カフェテリア、洋服店、美容院…。回廊を通れば、ほとんどの用事が済むように設計されている。

メイヨークリニックはサブウェイの壁面を使い、理念などをアピールしていた=米ミネソタ州ロチェスター市
メイヨークリニックはサブウェイの壁面を使い、理念などをアピールしていた=米ミネソタ州ロチェスター市
 同市のスカイウェイ(空中回廊)は、ビル外の回廊部分は行政が造り、ビル内部の通路はその建物の所有者が負担するという。冬の気温が連日氷点下になるという厳しさと、患者の利便性を考えて発達したアクセス方法だ。中心市街地の活性化などを考えれば、山形でも有効な通行手段となる可能性はある。

 「(建設コストを考えれば)地下に造るよりは、スカイウェイの方が現実味がある。同じようには造れないが、山形方式があってもいい」。そう語るのは平吹和之平吹設計事務所会長。ただ課題も多い。ロチェスター市の空中回廊のようなガラス張りは安全上難しいし、消防法の関係で逃げ道を造る必要もある。防犯上の問題、高さ制限なども考えなければならない。

 それでも市街地の発展を考えれば、スカイウェイが魅力的なのは間違いない。今の耐震設計ならば、地震への対応も難しくはないという。平吹会長は「さまざまな規制はあるがクリアはできる。規制緩和という方法もある。2階ではないが、実際に地方のデパートで造っている例もあり、頭上交通は発展可能性が高い」と話している。
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