連載企画

飯豊連峰縦走

■“出会った”新しい発見<最終日> メンバーに達成感
2010年08月01日 掲載
新潟県側の足の松登山口の近くに広がるブナ林。林の中を歩く縦走隊が小さく見えた=31日午後0時9分
新潟県側の足の松登山口の近くに広がるブナ林。林の中を歩く縦走隊が小さく見えた=31日午後0時9分
 飯豊連峰縦走最終日の31日、一行は強風に悩まされながら頼母木(たもぎ)小屋を出て、周りの見えない稜線(りょうせん)の下山を始めた。ところが、大石山から足の松尾根に入ると風がやむ。高度を下げるにつれて近くの山々の姿が現れ、時折日も差すようになった。何だ、下界はこうだったのかよ。

 足の松という名前の語源なのか、尾根にはヒメコマツやブナの根がごつごつと浮き出ており、足場にはなるものの、急降下では時折足が引っ掛かったり、滑ったりする。やせ尾根の途中には岩場も2カ所ある。縦走3日目に下った大★(だいぐら)尾根ほどではないかもしれないが、飯豊連峰の登り口は急こう配。途中の滝見場で、対岸の雄大な滝を眺めることができたのが、せめてもの憩いだ。最後の急坂を何とか下り切り、車道をしばらく歩いて終点の奥胎内ヒュッテにたどり着いた。

 6日間に及ぶ飯豊縦走のクライマックスは、何といっても大★尾根下りと、翌日の石転び雪渓登り。縦走の半ばで1700メートルを一気に下り、翌日に1400メートル余りを登り返すという行程は、山で会ったほかのパーティーに一様に驚かれた。けれども強行軍の一方、長く激しい大★のアップダウンや、アイゼンを着け、ピッケルを支えに雪を踏みしめる雪渓の雰囲気を味わうことができた。縦走を支えてくれたメンバーには、感謝してもしきれない。

新潟県側の足の松尾根の岩場を下る縦走隊メンバー=31日午前10時56分
新潟県側の足の松尾根の岩場を下る縦走隊メンバー=31日午前10時56分
 装備や食料を運んだ林業増田光秀さん(36)=小国町=は「いろんなコースをいっぺんに歩くことができ、有意義だった。飯豊はやっぱりいい山」。縦走では毎回発電機を背負う山形大ワンダーフォーゲル部OBの林業金野伸さん(25)=同=は「数え切れないほど登っても、新しい発見が必ずある。飯豊が一番。雪が解けた石転び沢の変わりようには驚いたし、今まで気にも留めていなかった蛍光がかった黄色のハクサンオミナエシを新たに覚えた」。

 山形大自然に親しむ会の高橋和也さん(24)=工学部4年、米沢市=と小寺義(ただし)さん(23)=理学部4年、山形市=は、それぞれ2回目の参加。左ひざと左くるぶしを痛めながら歩き通した高橋さんは「今回の大★尾根、石転び雪渓で山形と福島からのルートは大体制覇できたので、達成感があった。ひざに気を付けて、これからも山に登り続けたい」、小寺さんは「飯豊連峰は、景色も登り方も豊富。石転び雪渓は初めてで、こんなこう配でも登れるんだなあと思った」と感想を話す。

 ルート設定や食料計画など、山行全般を立案した吉田岳(たかし)さん(41)=小国町=は「飯豊は体力的に難しい上級者向けの山。今回は、中でも飯豊の醍醐味(だいごみ)、大★尾根と石転び雪渓を味わってもらうことができた」。

 今回山中で擦れ違ったり、小屋で泊まり合わせたのは、大部分が県外からの中高年パーティーだった。関連して、吉田さんの話になるほどと思ったことがある。山小屋では、消灯がおおむね午後8時。ところが、最近では利用者が眠りに就く時間が早まる傾向にある。6時ころから眠ってしまう中高年も珍しくはない。「山小屋はコミュニケーションを図る場でもあるはず」と吉田さん。そういえば、以前朝日連峰を縦走した時、西川町の山岳会メンバーたちと小屋で偶然一緒になり、その場で揚げてくれたてんぷらを食べながら歓談したことを思い出した。

 日本百名山にも入る飯豊山は、山好きがいずれは挑戦したいと思うあこがれの連峰。食料や寝袋などの装備すべてを背負わなければならないし、肉体的にも確かにハード。でも、だからといってピークを踏んだらあとは休むだけという無機的な登山ではなく、のどを潤しながら歓談を楽しむ山行があってもいいのではないか、と思う。

(飯豊連峰縦走取材班=報道部・鈴木雅史、堀川貴志)

★は山カンムリに品

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