連載企画

飯豊連峰縦走

■稜線まで続く雪渓踏みしめ<第4日> 宿願の石転び沢直登
2010年07月30日 掲載
石転びの出合から望む石転び沢。稜線まで長大な雪渓が続く=29日午後12時3分
石転びの出合から望む石転び沢。稜線まで長大な雪渓が続く=29日午後12時3分
 飯豊連峰縦走第4日の29日、山形新聞の縦走隊一行は小国町の石転び沢雪渓を登り、主稜線(りょうせん)上の梅花皮(かいらぎ)小屋に達した。あいにくの雨に見舞われたが、険しい峰の間に今の時季も残る雪渓を踏みしめ、1400メートル余りの高さを一気に稼ぐことができた。

石転び沢には、その名の通り大きな石が所々に転がり落ちている。縦走隊は細心の注意を払いながら前進した=29日午後2時23分
石転び沢には、その名の通り大きな石が所々に転がり落ちている。縦走隊は細心の注意を払いながら前進した=29日午後2時23分
 高低差1700メートルを下った翌日は、1400メートル余りの登り返し。飯豊連峰縦走第4日の29日、一行は小国町の天狗平ロッジから温身平(ぬくみだいら)を経て、石転び沢雪渓を直登。1850メートルの主稜線(りょうせん)上にある梅花皮(かいらぎ)小屋に着いた。

 今回の縦走はつまり、初日に主稜線に達した後、3日目にいったん下り、4日目のこの日に再び上に戻るという行程。2000メートル台の高山が続く飯豊連峰では、こんな歩き方をする登山者はまずいないだろう。

 なぜこういうルート設定をしたのかといえば、理由はただ1つ。石転び雪渓を登りたかったから。2004年に山形新聞パーティーが飯豊を縦走した際、石転び沢は落石の危険性があり、雪渓も崩落していたため入渓禁止だった。宿願を今回果たしたいと思ったのだ。ただし石転び沢は連峰のほぼ中央。初日にここを通ってしまえば縦走しづらい。だから、東端の飯豊町・大日杉コースから上がり、大★(だいぐら)尾根を下った後、石転び沢に入ることにした。

 登り始めたころいったん上がった雨が、雪渓前の沢沿い歩きの途中でまた降りだした。豪雪の飯豊連峰といえども、夏の雪解けのスピードは速い。記者たちが半月ほど前に下見をした時は、石転び沢と門内沢が合流する「石転びの出合」から、ずっと雪渓上を歩くことができた。ところが今回は、雪渓が出合から少し先まで後退していた。ルートが刻々変化していくさまは、まるで生き物のようだ。

 雪渓に着いた所で、登山靴にアイゼンを着け、ピッケルを持つ。雨が降り、気温も低めのせいか、雪面は硬い。アイゼンのつめが雪をつかむ「サクッ、サクッ」という音が耳に響く。上部も雪が消えており、黒滝と呼ばれる場所でアイゼンを脱ぎ、夏道を歩いた。雪渓の境界を示す黄色い旗も、雪解けに合わせて随時立て直しているという。「石転び沢は、雪が多く残り、下の方から雪上を歩くことができる5月か6月が一番いい」と登山ガイドの吉田岳(たかし)さん(41)=小国町。

冷たい風雨に耐え、一歩一歩力を振り絞り石転び沢を登る縦走隊=29日午後1時37分
冷たい風雨に耐え、一歩一歩力を振り絞り石転び沢を登る縦走隊=29日午後1時37分
 一行の増田光秀さん(36)=同、林業=はこの日、真っ赤な「勝負パンツ」を履いて雪渓に臨んだ。でも、一番効果を発揮したのは雪渓を登り切った後。吉田さんが登山道脇の不安定な石を下に落とそうとしたところ、予想外の方向に向かい、増田さんのそばを通り過ぎた。「勝負パンツでなかったら、直撃していたかも」

(飯豊連峰縦走取材班)

★は山カンムリに品

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