連載企画

飯豊連峰縦走

■「信仰の山」全容現す<第1日> “即席かき氷”で涼む
2010年07月27日 掲載
切合小屋の近くまで来た縦走隊の前にそびえる飯豊山=26日午後2時12分
切合小屋の近くまで来た縦走隊の前にそびえる飯豊山=26日午後2時12分
 飯豊連峰縦走第1日の26日、一行は快適な夏山歩きを満喫できた。1100メートルほど高度を稼ぎ、午後2時すぎには標高1700メートル余りの切合(きりあわせ)小屋に到着した。

 山形新聞の夏山縦走・踏破といえば、初日は雨にたたられるのがここ数年の定番。思い返してみても、昨年の月山踏破では長丁場の肘折ルートで降られたし、一昨年は朝日連峰南端の祝瓶山に登っている途中、大雨に見舞われた。ところが今年は対照的。飯豊町の大日杉小屋から登り始めるころには、霧の合間から太陽が照りつけだした。

 快適な分、歩を進めるたびに汗があごを伝ってしたたり落ちる。休憩時、首に巻いたタオルを絞ると、まるで水に漬けていたような水滴。地蔵岳に近づいた辺りから、飯豊山が全容を現した。残雪を頂いた神々しさ、スケールの大きさは、古くから人々の信仰を集めた山にふさわしい。

 今から170年余り前の1838(天保9)年7月下旬、米沢藩士泉崎賢親と友人の藩士佐藤秀臣、氏家高庸は3泊4日の日程で、縦走隊と同じ登山口から飯豊山を目指した。連峰の豊かな沢水を、手掘りのトンネルを通して小国町の玉川方面から飯豊町の白川に流した穴堰(あなぜき)が開通して、まだ20年という時期だった。天候は今回の縦走隊と異なり、大日杉辺りからは「そらくもりて雨ふりやまず」という悪条件。穴堰の取水口を経由して切合を過ぎると、雨に交じってあられやひょうも降ったという。泉崎はその模様を著作「飯豊の山ふみ」に記録した。

白い幹の「ダケカンバ」が林立する御坪を進む=26日午後0時17分
白い幹の「ダケカンバ」が林立する御坪を進む=26日午後0時17分
 谷を挟んで切合小屋を目前に望む御坪に着くと、ダケカンバの林を通してひんやりした風が吹き付け、一行のほてった体に心地よい。沢の上流にはまだ雪渓が残っている。登山ガイドの吉田岳(たかし)さん(41)=小国町=のアイデアで、荷物を運んでくれる山形大自然に親しむ会の学生らが、雪をかき氷にして食べることに。コンデンスミルクやインスタントコーヒーをかけて、即席の納涼気分を味わった。小寺義(ただし)さん(23)=理学部4年、山形市=は「ノリで食べたけど、予想外のおいしさだった」。

 切合小屋には、各地から登山者が集まっていた。福島県からと和歌山県からのパーティーは意気投合したのか、交互に民謡や懐かしのメロディーを歌い交わしている。のどかな雰囲気の中、日は暮れていった。

(飯豊連峰縦走取材班)

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