山形にフル規格新幹線を

トンネル化への道(中) 高速道の栗子が好例

2017年12月19日
 山形県内陸部を南北に貫く東北中央自動車道で今年、大きな動きがあった。福島県境部に位置する福島大笹生(福島市)―米沢北間(延長35.6キロ)が11月4日に開通した。道路トンネルとしては東北一の長さとなる栗子トンネル(8972メートル)を含む同区間は急勾配、急カーブを回避した構造で、米沢、福島両市中心部間の所要時間は従来の約1時間より20分短い約40分間になった。

 最高地点の標高は約440メートルで、標高626メートルの国道13号よりも低い位置を通過。勾配が緩やかになり、年平均4回発生する大雨や風雪による事前通行規制が解消される。東北自動車道、山形自動車道との「ロ」の字形の高速道路網が今後実現し、地域経済圏、観光圏の広域化につながる。

 同区間の総事業費は1883億円、工期は事業着手から19年間。運休・遅延の要因となる福島県境部の抜本的な防災対策調査でJR東日本がはじき出した、トンネル新設の概算事業費1500億円(フル規格仕様に断面を広げれば120億円追加)、工期が着工から約15年間の数値と重なる。

米沢八幡原インターチェンジ(中央)付近の東北中央自動車道。福島県境部の事業費、工期はJR東日本の調査結果と重なる
米沢八幡原インターチェンジ(中央)付近の東北中央自動車道。福島県境部の事業費、工期はJR東日本の調査結果と重なる
 東北中央自動車道の福島大笹生―米沢北間は、暫定2車線で開通した。1998年度に日本道路公団が事業着手し、2003年度に事業を引き継いだ国土交通省が整備を進めてきた。国と都道府県が負担し合う「新直轄方式」で、無料通行区間となっている。

 総事業費は1883億円。区間内にある全国の道路トンネルで5番目に長い栗子トンネルの事業費は約486億円で、工期は約6年間を要した。新直轄方式の負担割合は、国が4分の3、都道府県が4分の1だが、財政力指数などから本県はかさ上げ措置が講じられ、引き継ぎ後の事業費約839億円の約13%に相当する110億円程度を負担している。

 最高地点で標高626メートルを通過する国道13号の栗子峠は降雪量が多く、急坂や急カーブで冬季間に立ち往生する大型車両が毎年発生している。その数は年間130台で、東北全体の8割が集中している。今回の開通区間は坂道やカーブが緩やかで、県境部の国道13号通行止め時の迂回(うかい)負担も軽減された。

 県境部の道路網の信頼性は飛躍的に高まり、安全性、安定性が向上した。だが、山形新幹線はいまだ大雪、豪雨、野生動物との衝突による運休・遅延に悩まされている。東北中央道と栗子トンネルが示すように、抜本的な防災対策としてJR東日本が調査したトンネル新設の事業化は、課題を一気に解消する。

 山形新幹線の県境部トンネル化は調査段階で、事業化の可否はJR東日本の判断になる。調査結果では、将来の奥羽新幹線を念頭にトンネル掘削面をフル規格仕様に広げると、総事業費は約1620億円。東北中央道と単純比較はできないが、トンネル化は十分可能に映る。

 新幹線と在来線を相互に乗り入れる日本初の「新幹線直行特急」として整備された山形新幹線は、施設整備で知恵が絞られた。県やJR東日本、企業などが出資して「山形ジェイアール直行特急保有」を設立。同社が金融機関から融資を受けて施設などを整備し、賃貸借する枠組みで実現した。国や山形、福島両県の支援の在り方を含め、トンネル事業化への知恵と決断力が試される。

(「山形にフル規格新幹線を」取材班)

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