山形にフル規格新幹線を

取り残された庄内(下) 沿線3県、連携強みに

2017年12月04日
11月21日に鶴岡市内で開かれた羽越本線高速化シンポジウム。新幹線整備に向けた機運醸成を図ることも重要だ
11月21日に鶴岡市内で開かれた羽越本線高速化シンポジウム。新幹線整備に向けた機運醸成を図ることも重要だ
 国の新年度予算編成の時期に合わせ、中央への各種要望活動が熱を帯びる中、羽越本線高速化促進大会が先月16日、都内のホテルで開かれた。山形と新潟、秋田の3県の沿線自治体や経済界の関係者約350人が顔をそろえた。羽越本線の複線化・高速化、さらには新幹線整備の早期実現に向けて国や関係機関に強く働き掛けるのが目的だ。大会終了後、沿線自治体の首長らが財務省、国土交通省、JR東日本などを回り、必要性を訴えた。

 今年で15回目を数える大会だが、主催する3県それぞれの組織が改組して臨んだ点が従来と異なる。前身の同盟会から昨年11月、「庄内地区羽越新幹線整備実現同盟会」(会長・鶴岡市長)として新たなスタートを切った庄内の動きや各県の取り組みに呼応する形で、新潟は今年5月に「羽越本線高速化・新幹線整備促進新潟地区同盟会」(会長・新潟市長)へ、秋田は7月に「羽越新幹線整備促進秋田地区期成同盟会」(会長・由利本荘市長)へそれぞれ名称変更した。

 膨大な整備予算という高い壁を前に3同盟会は連携の強さをアピールする。秋田地区期成同盟会事務局の由利本荘市の担当者は「1県、1地区では発信力が限られる。(県境を越えた)沿線全体で盛り上げたい」と意気込む。

 先の促進大会では、日本海沿岸を縦貫する羽越本線の重要性を指摘した。東日本大震災で東北と首都圏などをつなぐ代替補完機能を発揮。東京だけでなく関西圏へのアクセスを見据え、太平洋側の高速鉄道網とのダブルネットワークを構築する意義もある。あらためて日本海国土軸形成の必要性を訴え、出席者が認識を共有した。

 具体的な要望項目は▽羽越本線の路線改良、複線化による高速化▽防風柵の設置、気象観測体制の強化による安全性の向上と安定輸送の確保▽新潟駅における新幹線と白新線・羽越本線の同一ホーム乗り換え事業の完了に合わせた所要時間の短縮▽羽越新幹線を整備計画路線に格上げするための法定調査の開始―を挙げた。

 北海道新幹線や北陸新幹線など1972(昭和47)年に基本計画に位置付けられた路線は既に開業へと進んでいる。一方、1年遅れの「昭和48年組」に奥羽新幹線とともに名を連ねる羽越新幹線などは依然、未着工のまま。庄内地区同盟会の事務局を担う庄内開発協議会の熊坂俊秀事務局長は「できることから取り組むしかない。(新幹線整備の)旗を掲げ続けることが大切」と粘り強い活動の必要性を強調する。

 先月21日は鶴岡市で羽越本線高速化シンポジウムを開いた。約350人が出席し、酒田市出身の歌手白崎映美さんの基調講演やパネルディスカッションを通して、路線の魅力を再認識した。新潟駅における上越新幹線と羽越本線の同一ホーム化が来年4月ごろに実現し、新潟・庄内を対象にした大型観光誘客事業「デスティネーションキャンペーン」も2019年秋に控える。3同盟会は今こそ利用促進、機運醸成につなげる好機と捉える。

 県内の地域別人口の推移を見ると、4地域とも減少の一途をたどる。村山地域に次ぐ人口規模の庄内地域は07年以降、毎年3千~2千人台の人口減少を繰り返している。16年人口の10年前比較で、庄内は4地域で最多の3万人超が減った。人口減少にあえぐ全国の地方都市にあって、庄内はどう地域の優位性を示すか。観光資源など人を引きつける素材に光が当たり始めている今、地方創生に向かう上で欠かせない羽越新幹線など高速鉄道網を中心にした社会基盤整備の必要性が一層際立っている。
(「山形にフル規格新幹線を」取材班)

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