山形にフル規格新幹線を

取り残された庄内(中) 横軸の高速化を切望

2017年12月03日
庄内と内陸を結ぶ陸羽西線。酒田市は奥羽、羽越本線のフル規格新幹線整備と合わせ、山形新幹線の庄内延伸も訴えている=庄内町余目新田
庄内と内陸を結ぶ陸羽西線。酒田市は奥羽、羽越本線のフル規格新幹線整備と合わせ、山形新幹線の庄内延伸も訴えている=庄内町余目新田
 酒田市は、フル規格新幹線の整備と合わせて山形新幹線の庄内延伸を訴える。背景には全国・県平均を上回る速さで進む人口減少への強い危機感がある。打開策としてすぐにも観光・交流人口を増やし、地域活性化を図りたい。そのためには、短期間・低コストで実現できる庄内延伸が必要だと考えるからだ。

 「広域を周遊する観光が主流となる中、延伸による陸羽西線の高速化で内陸と庄内が“近く”なることは、本県全域の観光にプラスになる」と酒田市の担当者は見る。

 庄内は、酒田市などの北前船寄港地と鶴岡市のシルク、出羽三山と3件の日本遺産が集中し、日本ジオパーク認定の鳥海山・飛島ジオパークもある全国的にまれな地域だ。鉄道は外国人観光客を呼び込む上でも重視される交通手段で、海外発信力のある資源が豊富な庄内が集客エンジンとなり、高速化した陸羽西線が内陸に客足を伸ばすための動脈になり得る。

 「フル規格新幹線か、それ以外か、どちらか一方を選ぶのではない。奥羽、羽越のいずれかでフル規格が実現するとしても、縦軸を結ぶ横軸のネットワークは重要だ」(市担当者)

 酒田市は、山形新幹線の庄内延伸と同時に既存線路の改良対策などを行うと、庄内―東京間を2時間半~2時間40分台で結ぶことが可能だという「中速鉄道」の考え方を県内に示した。山形―東京は約1時間半。フル規格で目指す1時間台と変わらない。しかも、7年程度かそれより短期間で実現できる可能性があると、研究者らは推測する。同市などが2月に開催した講演会でこの新案を紹介すると、大きな反響を呼んだ。

 「庄内―東京2時間半」を試算したのは、JR東日本で長く保守部門に携わった経験があり、講演会で講師を務めた交通コンサルタントの阿部等ライトレール社長。板谷峠(福島―米沢間)の新トンネル・新線建設と山形新幹線の庄内延伸を前提にはじき出した。今後開発が必要な技術もあるが、中速鉄道は海外では多くの国で導入されている。

 7月に開催した同様の講演会では中速鉄道研究第一人者の一人・曽根悟工学院大特任教授が、開発済みの車両、国内で導入実績のある曲線通過時の遠心力対策で庄内―東京を2時間40分台で結ぶ方策も紹介した。

 阿部社長によれば、1キロ当たりの整備コストはフル規格が80~100億円、ミニ新幹線が4億円なのに対し、中速鉄道は20億円程度。コスト抑制の面でも講演会参加者の支持を得た。

 酒田市は「中速鉄道も鉄道高速化の選択肢の一つ」とのスタンスで、県奥羽・羽越新幹線整備実現同盟(会長・知事)、羽越新幹線のフル規格整備実現を目指す「県庄内地区羽越新幹線整備実現同盟会」(会長・鶴岡市長)にも加盟し、足並みをそろえる。

 一方で6万人近い署名を県に提出して求めてきた山形新幹線の庄内延伸は、在来線である陸羽西線の路線の位置付けを上げ、守ることにもつながると、運動を継続する。庄内と内陸が鉄路で近くなり、空路を含めて多様なルートで周遊できるようになれば、県内全域に波及効果が期待できるとの思いが根本にある。

 中速鉄道は日本では新しい整備手法のため、実現可能性がどの程度か見通せない面はあるが、国・地方財政が逼迫(ひっぱく)する中で、地方の鉄道高速化のモデルになることも考えられる。

 陸羽西線高速化促進市町村連絡協議会の会長を務める丸山至酒田市長は「県や他市町村と一緒にフル規格の奥羽・羽越新幹線の実現を目指すと同時に、国や県には中速鉄道の検討も視野に入れてもらえないか働き掛けたい」と力を込めた。

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