山形にフル規格新幹線を

交流人口(1) 地域経済の持続、不可欠

2017年08月01日
観光客らでにぎわう山形新幹線のホーム。交流人口拡大に向け、フル規格新幹線の整備が求められている=今年5月、山形市・JR山形駅
観光客らでにぎわう山形新幹線のホーム。交流人口拡大に向け、フル規格新幹線の整備が求められている=今年5月、山形市・JR山形駅
 東日本大震災後、被災地で初めての全国知事会議が7月27、28の両日、岩手県で開催された。震災復興や地方税財源の充実などさまざまな課題の中で、国が進める「地方創生回廊」の早期実現、地域公共交通網の維持確保・充実のための特別決議も議題となった。新幹線や高速道路網、航空ネットワークで地方と地方を結び、全国を一つの経済圏に統合する回廊構想は地方創生の基盤だが、人口減少が加速する地方にとって、地域公共交通網の維持が難しくなっている。

 地方創生は、東京一極集中に歯止めを掛け、東京から地方への新しい人の流れを生み出すことを柱の一つに据えている。だが、2015年国勢調査、17年1月の住民基本台帳に基づく人口調査でも、東京、名古屋、関西の三大都市圏に人口が集中している現状が浮き彫りとなった。一向に歯止めが掛からない人口流出に、地方は交流人口拡大に活路を見いだそうとする。

 定住人口の目減り分を交流人口の消費・購買力で補完し、地域経済を持続させる―ことが地方にとって不可欠な施策。そのために重要な要素となるのが観光振興だ。全国知事会議の特別決議は、高齢者や高校生などの交通弱者、離島住民に不可欠な地域公共交通網の維持・確保とともに、新幹線の基本計画から整備計画への早期格上げが、地方の特色ある発展を支えると指摘している。

 地方創生の成否を握るキーワードの一つが「インバウンド(海外からの旅行)」。昨年は年間最多の約2403万9千人を記録した。観光庁が先月発表した今年上半期(1~6月)の推計値は1375万7300人で、消費累計額は2兆456億円に上る。政府は観光を成長戦略の一つと位置付け、東京五輪・パラリンピックが開催される2020年に4千万人、30年に6千万人の数値目標を掲げる。

 達成に向け、政府は首都圏や関西だけではない、地方への誘客促進が大切だとする。過去最多を記録したとはいえ、東北への昨年の宿泊を伴う誘客は1%程度。世界遺産に登録される名所旧跡や自然環境、新庄まつりを含む東北の夏祭り、豊かな食文化といった東北全体の観光資源を生かし切れていないのが現状だ。

 国土交通省は地方の社会インフラの充実化を進めている。海外からの玄関口となる航空ネットワークでは、地方空港のインバウンド増加に向け、全国27カ所を「訪日誘客支援空港」と認定。着陸料補助などによる新規就航・増便や空港ビルの施設整備といった受け入れ態勢を支援する。

 もう一つの玄関口・港湾は、北東アジアを世界的なクルーズ市場(目標・20年に500万人)に成長させようと、船舶を係留する係船柱の新設や防舷材(ぼうげんざい)などの港湾機能強化などを推進。こうした支援を受け、酒田港に今月、外航クルーズ船「コスタ・ネオロマンチカ」(最大乗客定員1800人)が初寄港し、来年7月には「ダイヤモンド・プリンセス」(同3286人)が2度入港する。

 訪日外国客の国内移動を促す上で、天候に左右されにくく、安定的に大勢の乗客を地方まで運ぶ新幹線が優位になる。北陸新幹線が開業したとはいえ、空港や港湾振興と比較すると、フル規格新幹線の恩恵は日本海側に届いていない。本県を沿線とする羽越新幹線(富山~青森)、奥羽新幹線(福島~秋田)は基本計画に位置付けられた1973(昭和48)年から44年間、整備計画への格上げを見送られ続けている。

 新幹線に対する政府予算は、公共事業費全体の1%未満に過ぎない。東京圏に人口を吸い上げられ、毎年1万人前後が減少し続ける本県の人口は、10年後には100万人を割り込む可能性がある。交流人口の流れをつくり出す高速交通ネットワークが必要だ。

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