山形にフル規格新幹線を

並行在来線(4) 北陸新幹線(上)

2017年04月03日
琵琶湖西部を走るJR湖西線。北陸新幹線の延伸に伴う経営分離の可能性が指摘され、地元の滋賀県は懸念を強めている=3月24日、同県大津市
琵琶湖西部を走るJR湖西線。北陸新幹線の延伸に伴う経営分離の可能性が指摘され、地元の滋賀県は懸念を強めている=3月24日、同県大津市
 与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム(PT)は昨年12月、北陸新幹線で未着工の敦賀(福井県)以西ルートについて、小浜(同県)、京都を経由する「小浜京都ルート」の採用を正式決定した。3月には京都―新大阪間の「南回り案」が確定。1973(昭和48)年の整備計画決定から40年以上を経て、北陸新幹線の全容が固まったが、並行在来線が絡むルート問題は沿線自治体にあつれきを生む結果になった。

 敦賀以西では米原(滋賀県)で東海道新幹線に乗り換える「米原ルート」、舞鶴(京都府)を経由する「小浜舞鶴ルート」の2案も検討された。沿線府県による熾烈(しれつ)な「綱引き」の末、与党PTは北陸と関西の移動時間、料金などの要素を総合的に評価して「小浜京都」が適切と判断した。

 「小浜京都」は滋賀県を通らない。今後は並行在来線の取り扱いが焦点となるが、同県民の生活路線でもあるJR湖西線がその検討対象の一つになる可能性も指摘される。延伸は同県に「受益なき負担」を強いるのではないか。「新幹線が通らないのに、経営分離を受け入れられるわけがない。湖西線については滋賀県として一歩も譲れない」。同県交通戦略課の担当者は懸念を強める。

 北陸新幹線の敦賀(福井県)以西ルートについて、滋賀県交通戦略課は「かつて滋賀としては積極的に整備新幹線を呼び込む動機がなかった」と振り返る。整備費負担や並行在来線の経営分離といったデメリットの方が大きかったからだという。しかし、府県域を超えて組織する関西広域連合が2013年、投資効果の観点から米原(同県)で東海道新幹線に乗り換える「米原ルート」の支持を提案し、コスト負担については「関西全体で解決を図る」との文言を基本方針に盛り込んだことで、滋賀県は誘致にかじを切った。「米原」は当初、関西が一枚岩で取り組んだ路線だった。

 潮目が変わったのが16年1月。JR西日本が小浜(福井県)、京都を経由する「小浜京都ルート」が望ましいとする見解を表明したことを受け、同連合は「米原」支持を事実上撤回した。そして、沿線自治体の意見は割れた。

 滋賀県は同連合の「コスト負担は関西全体で解決」という基本方針が生きていると判断し、引き続き「米原」を主張。福井県は「小浜京都」を求め、京都府は舞鶴(同府)を経由する「小浜舞鶴ルート」を要望した。独自試算で費用対効果の高さを示し合うなど、誘致合戦は激化した。

 「小浜京都」の決定を、滋賀県交通戦略課は「残念だが、関西全体の発展のためには早く建設を進めるべきだ」と受け止める。今後の懸念は並行在来線の取り扱いだ。一般的に並行在来線は「新幹線に役割が移る特急が走る線区」と定義され、北陸新幹線ではJR湖西線で石川県と大阪府を結ぶ特急サンダーバードが該当する。そのため、湖西線が経営分離される可能性が指摘される。

 同課は「経営分離された路線は従来、新幹線の受益を判断して(第三セクターに)受け入れられてきたと認識している」とし、湖西線の経営分離は「滋賀にとって受益がない。受け入れられない」と拒絶する。

 「総論はみんな賛成。しかし、計画が具体化する中で利害関係が表面化し、一枚岩になれない状況になる」。自治体間の苛烈な「綱引き」を経験した同課の担当者の言葉は重い。交通計画を専門とする大阪産業大の波床正敏教授は「北陸新幹線とは違い、奥羽、羽越両新幹線は(隣県との)ルートの引き合いはないのでは」と予測しつつ「駅の位置などで議論があるだろう」と指摘する。整備新幹線の実現が近づくにつれ、いずれ本県でも並行在来線の議論は必ず顕在化する。その覚悟を持ちながら整備促進の意識を高めていく必要がある。

(「山形にフル規格新幹線を」取材班)

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