山形にフル規格新幹線を

並行在来線(2) 北海道新幹線(上)

2017年04月01日
開業1周年を迎えた北海道新幹線。開業後の経済効果に注目が集まる一方で、並行在来線の先行きは厳しい=3月28日、北海道北斗市
開業1周年を迎えた北海道新幹線。開業後の経済効果に注目が集まる一方で、並行在来線の先行きは厳しい=3月28日、北海道北斗市
 先月26日に開業1周年を迎えた北海道新幹線(新青森―新函館北斗間、約149キロ)。フル規格新幹線は北海道函館市を中心とする道南地域に大きな経済波及効果をもたらし、地元は2年目以降にこの勢いをつなげようとしている。計画される札幌延伸は2030年度を予定。道内では並行在来線の経営分離が始まっているほか、札幌延伸に伴い、経営分離される函館―小樽間の並行在来線の協議が今後、本格化する。

 JR北海道によると、開業後1年間の乗客数は約229万2千人に上った。1日平均の乗客数は約6300人で、在来線だった前年同期に比べ64%増えた。平均乗車率は約32%。道新幹線推進室がまとめた1日平均利用者数は、ピークとなった昨年8月の約9600人に対し、今年2月は約3600人。現状では観光需要がメインのため、好調な夏場に比べて、冬期間の利用促進にてこ入れが必要との課題が浮き彫りになった。

 江差線の五稜郭(ごりょうかく)―木古内間(37.8キロ)はJRから経営分離され、第三セクター「道南いさりび鉄道」(函館市)が引き継いだ。開業前の段階から赤字が見込まれており、累積赤字は10年間で23億円に上るとされている。北海道新幹線に注目が集まる一方、並行在来線の先行きは厳しい。

 北海道新幹線停車駅である新函館北斗駅では平日にも関わらず、車両の写真を撮影する観光客らでにぎわう様子が見られた。一方、函館駅から乗り込んだ1両編成の道南いさりび鉄道の車両内は決して乗客が多いとは言えず、生活路線として地道に運営している現状が垣間見えた。

 五稜郭―木古内間について一時、道がバスへの転換を提案したが、存続を願う地元自治体の声を受け、路線維持へかじを切った経緯がある。いさりび鉄道に対する自治体の負担割合は北海道が80%、沿線の函館、北斗、木古内の3市町が残り20%を分担することで合意。累積赤字に相当する23億円を補助金で支出する。

 いさりび鉄道は、観光列車「ながまれ海峡号」が、企画性などで優れた鉄道旅行商品を顕彰する「鉄旅オブザイヤー2016」でグランプリを獲得するなど高い評価を得ている。生活路線の視点では、通学時に利用する高校生らに愛着を深めてもらう取り組みを進める。駅舎掲示板を開放して生徒に校内新聞を張り出してもらうなど、地元密着をアピールしている。

 JR乗り入れ区間を含む函館―木古内間が三セク化前より270円高い1110円になるなど運賃は約3割増した。それでも、年間利用者数は見込み通りに1日2千人ほどで推移。同社の勝又康郎企画営業課長は「運賃値上げによってお客さまの多くが逃げることはなかった」と語る。

 経営計画では、経営分離から11年目以降の運営については今後、運賃水準の見直しなどを含めて検討することにしており、明確な方針は定まっていない。勝又課長は「自治体の支えがなければ運営は難しい」とした上で「10年間で自治体負担が23億円以内に収まるよう、運営するのがわれわれの責務になる」と話す。

 沿線自治体の人口分布、並行在来線を貨物列車が運行する際に線路使用料を支払う貨物調整金制度など、北海道のケースを奥羽本線と羽越本線に単純に当てはめるのは難しい。だが、今後も人口減少が見込まれる地方都市である点、線路や駅舎の除雪費確保の必要性など共通する要素もある。

 いさりび鉄道の場合は、自治体が赤字を覚悟で支えている。自治体負担は沿線住民の負担ともなる。こうした面を理解しつつ、新幹線停車駅からの人の流れをいかに取り込むのか、生活路線としての役割をどのように位置付けていくのかを考える必要がある。

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