山形にフル規格新幹線を

雪との戦い(上)板谷峠

2017年03月04日
雪が降りしきる中、雪煙とごう音を上げながら進む除雪車=米沢市三沢
雪が降りしきる中、雪煙とごう音を上げながら進む除雪車=米沢市三沢
 「新幹線」と呼ばれる車両が走る区間の中では地形、気象条件ともに最も過酷と言っても過言ではないかもしれない。奥羽本線の福島―米沢間。よく言われる「板谷越え」だ。例年、冬になると、除雪作業のため東京―山形、新庄間が終日運休になる日がある。フル規格新幹線でも大雨や強風で一時的に運転を見合わせることは多いが、「終日」となると、設備が脆弱(ぜいじゃく)なミニ新幹線故の宿命なのかもしれない。

 2月2日は大雪で、今年2度目の大規模な運休措置が取られた。午前11時。奥羽本線の中で最も標高が高い峠駅(米沢市大沢)に着いた。乾燥し、気温が低いためか、砂のような細かい粒の雪が降りしきる。駅敷地内は除雪作業でできた雪の壁が高さ3メートルほどに達していた。線路にある雪はつばさ号が通過すると、巻き上げられ、2本の鉄路が姿を見せた。コンクリート製の高架橋で整備されたフル規格の線路とは違い山形新幹線は土の上に線路が敷かれており冬の間はさながら雪の中に線路が延びる様相を呈している。

 車で板谷駅に移動する。駅前の道路で雪かきをしていた住民の男性は「去年より多い」と額の汗をぬぐった。雪の量は「3メートルぐらいかな」と言う。この日はつばさ号の運行を優先し、普通列車は始発から運休していた。「あまり(普通列車を)使わないからいいけどね」。手持ちのスマートフォンにJR東日本からの運行情報が入った。福島―米沢間の除雪作業をするため「つばさ号もすべて運休する」との内容だった。

 大粒の雪が降る。風が強く吹いている。時折、吹き上げられた粉雪が「ゴゴー」とうなりを上げていた。午後10時半。福島へと続く米沢市内の線路上。40~50センチの雪が積もっている。遠くに赤と黄色に点滅する二つのランプが見えた。氷雪混じりの強風に打ちのめされそうになりながら、ランプが光る方向を見詰めた。

 除雪車と分かるまで時間がかかった。吹雪で視界が悪いだけでない。そこに車両はあるものの、なかなか距離が縮まらないからだ。それもそのはず。除雪車のスピードは、人の歩く速さとほぼ一緒。このため、庭坂(福島市)―米沢間約33キロを除雪するにも、作業は夜通し行われるという。

3メートルを越える積雪の中を疾走する山形新幹線つばさ号=2月2日、米沢市板谷
3メートルを越える積雪の中を疾走する山形新幹線つばさ号=2月2日、米沢市板谷
 約30分後。除雪車はハの字に開いた前部の鉄製パネルで雪を巻き込みながら、記者が立つ踏切前へと差し掛かる。次の瞬間、パネルが動き出し三角形に閉じるや今度は雪をかき分けながら前へ。除雪車が通過した雪原には、まっすぐに伸びたレールが表れた。

 「板谷峠に新たなトンネルを掘れないか」。県が事務局を務め2001年~06年にかけ、国やJR東日本などをメンバーとして山形新幹線の機能強化を議論した委員会で出た提案だ。具体的には約40キロある福島―米沢間に「20キロを超えるトンネルを整備する」との内容で、委員会としては「費用対効果が低く、実現は難しい」との結論に至った。

 全国有数の豪雪地帯の板谷峠は、夜通し除雪をしても、やはり限界はある。除雪による運休、遅延は安全を第一に考えればこそ。だからこそ、もう一度考えてみる必要があるのではないだろうか。10年前に立ち消えとなった「新トンネル構想」だ。

(「山形にフル規格新幹線を」取材班)

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