山形にフル規格新幹線を

自治体間の温度差(上) 「ミニ」の恩恵失う不安

2017年02月17日
沿線自治体に停車する山形新幹線。フル規格への期待と通過駅となることへの不安が入り交じる=米沢市・JR米沢駅
沿線自治体に停車する山形新幹線。フル規格への期待と通過駅となることへの不安が入り交じる=米沢市・JR米沢駅
 山形、秋田、福島、新潟4県の知事、副知事が先のシンポジウムで早期実現に向けた連携強化を確認するなど、フル規格の奥羽、羽越両新幹線を目指す動きが活発化する中、県内では沿線自治体間で機運の高まりに濃淡が見える。県は市町村などに同盟設立を呼び掛けるが、設立は3組織にとどまる。フル規格新幹線の必要性に賛同しつつも、通過駅となることへの不安などが交錯している。

 県と市町村、経済界など“オール山形”組織として昨年5月に設立された「県奥羽・羽越新幹線整備実現同盟」。吉村美栄子知事は市町村単位、地域レベルの組織化を促し、重層的、波状的な要望活動を求めた。こうした動きに呼応し、米沢市は翌月に「米沢市奥羽新幹線整備実現同盟会」(会長・中川勝米沢市長)を、庄内5市町と経済団体は同年11月に既存組織を改組する形で「県庄内地区羽越新幹線整備実現同盟会」(会長・榎本政規鶴岡市長)をそれぞれ発足させた。

 市町村単位でいち早く立ち上げた米沢市の担当者は「県の南玄関口として、声を上げていくべきとの思いがあった」と話す。フル規格新幹線はヒト、モノを呼び込む地方創生の基盤とし、観光や企業立地の促進に加え、学園都市機能を生かした地域活性化につながる、との期待を寄せる。

 置賜8市町で構成する置賜総合開発協議会は昨年5月の総会で、フル規格新幹線建設促進を2017年度重要事業の一つに位置付け、国に要望した。「まずは米沢市が盛り上げ、継続して声を上げる」としている。

 羽越新幹線実現に向け、沿線の新潟、秋田両県の協力が不可欠―とする榎本市長は、全県的な取り組みの重要性を強調する。山形―東京間の所要時間「2時間」が実現すれば、地理的なマイナス面が解消されるとし、沿線自治体に対する県のリーダーシップ発揮に期待感を抱く。

 JR新潟駅の上越新幹線、羽越本線の同一ホーム化(18年度完成予定)への対応を当面の課題に掲げ「乗客数をいかに伸ばすかが難題。潜在的な需要を掘り起こす必要がある」と榎本市長。利用増を将来のフル規格化につなげるとの青写真を描く。

 県の実現同盟には県内35市町村が加盟する。フル規格新幹線という総論賛成のスタンスだが、吉村知事も認める通り「各論反対、温度差もあるかと思う」。吉村知事は山陰、四国新幹線など先行して運動を展開する他地域との競争に勝つため、フル規格実現運動を先行させ、運動過程で諸課題を解決する考えを示す。ただ、沿線自治体の中では、フル規格化により通過駅となってしまうことで、各自治体に停車する山形新幹線の特性とその恩恵が失われるとの不安がある。

 南陽市の白岩孝夫市長は「地域住民や産業界の機運の高まりが不可欠だが、現段階で(市の同盟設立は)判断しかねる状態」との悩みを明かす。山形新幹線が赤湯駅に停車することで「赤湯」の地名を広く発信でき、「乗り換えなしで東京から来ることができるのは観光面、企業誘致などを含めて地域経済への波及効果が大きい」との実感があるからだ。

 山形新幹線の終着駅、新庄市の山尾順紀市長は「山形新幹線延伸早期実現期成同盟会」の会長として、山形、秋田両県の奥羽本線沿線自治体などとともに山形新幹線の大曲駅(秋田県大仙市)延伸に取り組む。「ミニ新幹線の方が現実的だった」と、これまでフル規格新幹線の既存組織に加わらなかったが、県の実現同盟には参加した。

 奥羽新幹線が実現すれば、通過駅となる可能性もある。だが、山尾市長は、魅力あるまちづくりを進めることで新幹線利用客を誘引することが可能との考えを抱く。「新庄は東西南北の鉄路が交わるターミナル駅。最上地方の町村、秋田県と連携すれば、その役割は今後も果たせる」

(「山形にフル規格新幹線を」取材班)

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