談話室

▼▽「アカルサハ、ホロビノ姿デアラウカ」。明るい振る舞いの中に、既に凋落(ちょうらく)の種が宿っている。そのような意味であろう。太宰治の小説「右大臣実朝」で、鎌倉幕府の3代将軍だった源実朝がひとりごちた言葉である。

▼▽「明るい」と実朝が述べたのは、軍記物に描かれた平家の姿だった。源氏との戦いは劣勢が続き滅亡が近づいているのに、武将はからからと笑っている。太宰が創作したのは1943(昭和18)年の初め。太平洋戦争の先行きを、まだ国民の多くは楽観視していた頃である。

▼▽こんな一節を記したのは北朝鮮指導者の昨今の言動が、かつての平家の様子と二重写しになったからだ。新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験に成功したとして「ミサイル強国の偉業が実現した」と宣言、発射台のタイヤ製造工場を訪れては満面の笑みを浮かべた。

▼▽自らの権勢を見せつけているつもりだろうが、脇には滅びの淵が既に口を覗(のぞ)かせているかもしれぬ。ミサイル開発に狂奔している間には、簡素な木造船で無理な操業に追い込まれた漁民が日本に漂着、遺体も次々見つかっている。笑顔を見せるトップの心根が理解できない。

(2017/12/06付)
最新7日分を掲載します。
  • 12月12日
  • ▼▽歩道に収まり切れず、車道にまではみ出した数十万人の群衆が叫ぶ。「万歳!ベーブ・ルース!」。1934(昭和9)年11月、米国選抜チームの一員として来日した「野球王」を歓迎する東京・銀座の光景である。[全文を読む]

  • 12月10日
  • ▼▽木村拓哉さん演じる侍が藩主の御膳(おぜん)に箸を付けるや倒れ、一命を取り留めるも失明する。藤沢周平さん原作の映画「武士の一分(いちぶん)」は主人公が「毒味役」だった。だが実際にあった役職かと問われると、戸惑ってしまう。[全文を読む]

  • 12月9日
  • ▼▽目玉おやじが茶わん風呂に漬かる。水木しげるさんの妖怪漫画「ゲゲゲの鬼太郎」である。眠くなって寝ると目はどうなるか-。にわかに思い浮かばない場面だが、「人間と同じだから眠い時は目をつぶる」(作者)。[全文を読む]

  • 12月8日
  • ▼▽1897年に北海道阿寒湖で球状の緑藻を発見、後に「毬藻(まりも)」と名付けた人物が県人だったことをご存じだろうか。飽海郡松嶺(現酒田市)出身で当時札幌農学校の学生だった川上瀧弥(たきや)(1871~1915)である。 [全文を読む]

  • 12月7日
  • ▼▽文壇きっての料理人だった檀一雄は、青森県弘前市の一杯飲み屋で同席者から薦められ、ハタハタの卵ブリコを酒肴(しゅこう)として食した。粒々を●(か)むのに難渋して、十分に咀(そ)嚼(しゃく)できた「少年の日に返りたい」と感慨に耽(ふけ)った。 [全文を読む]

  • 12月6日
  • ▼▽「アカルサハ、ホロビノ姿デアラウカ」。明るい振る舞いの中に、既に凋落(ちょうらく)の種が宿っている。そのような意味であろう。太宰治の小説「右大臣実朝」で、鎌倉幕府の3代将軍だった源実朝がひとりごちた言葉である。 [全文を読む]

  • 12月5日
  • ▼▽パシッと駒音が響く。学校帰りの児童らが真剣な表情で将棋盤に向かっていた。JR天童駅ビル内の天童将棋交流室をのぞいてみた。15歳の藤井聡太四段の活躍が刺激になっているのだろう、どの子も目が輝いている。[全文を読む]

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