談話室

▼▽850(嘉祥3)年、東北を旅していた慈覚大師がその地に差し掛かると急に濃霧が立ち込めた。足元に落ちていた白鹿の毛を頼りに進んだ先に鹿が蹲っ(うずくま)ていた。近づくと薬師如来が現れ、ここに堂を建てよと告げた。

▼▽みちのく四大名刹(めいさつ)の一つ平泉・毛越(もうつう)寺(岩手)にそんな開山伝承が残る。鹿の毛に導かれ、山を越えた故事が寺名の由来とか。日本では古来、鹿は神の使いや幸運の象徴とされ崇(あが)められてきた。万葉集にも鹿を詠んだ歌は多く、昔から人間の身近な存在だったことが分かる。

▼▽「シカトする」。無視を意味するこの身近な俗語も鹿が語源だ。もともとは花札の10月の10点札がそっぽを向いた鹿の絵柄であることから、博徒らが無視の隠語として呼んだ「鹿十(しかとう)」が転じた。近年、この鹿が県内で増えている。全国の森林被害の6割は鹿が原因だという。

▼▽県内の鹿は大正期に絶滅したとされたが2009年以降、毎年目撃され、昨年は100件を超えた。食害なども出ているようだからシカトはできまい。かつての神使が害獣となってしまった原因は山の荒廃や温暖化による少雪など人間側にもあるだろう。何とも複雑である。

(2019/07/15付)
最新7日分を掲載します。
  • 7月15日
  • ▼▽850(嘉祥3)年、東北を旅していた慈覚大師がその地に差し掛かると急に濃霧が立ち込めた。足元に落ちていた白鹿の毛を頼りに進んだ先に鹿が蹲っ(うずくま)ていた。近づくと薬師如来が現れ、ここに堂を建てよと告げた。[全文を読む]

  • 7月14日
  • ▼▽「昨今『おめでとうございます』と言われる回数が一番多い日本人です」。のっけからこう切り出すと、客席はどっと沸き、祝福の拍手が続いた。人気落語家春風亭昇太さんが山形市で先日開いた独演会の冒頭である。[全文を読む]

  • 7月13日
  • ▼▽直角に曲がった矩尺(かねじゃく)などを駆使して複雑な構造の組み合わせを計算する大工の技を「規矩(きく)術」という。社寺の屋根の曲線「軒反(のきぞ)り」を作り出すためには不可欠の技術であり、世界に誇る日本の木造建築美を支えてきた。[全文を読む]

  • 7月12日
  • ▼▽「試合に勝つ人間は、相手を踏みにじり上に立つ。だから勝った人間には責任がある。彼の分の責任も伴ってこれから戦っていく」。2年前のボクシングWBA世界ミドル級タイトル戦で、勝者村田諒太はこう語った。[全文を読む]

  • 7月11日
  • ▼▽期待せずに一口含んだ粒あんだったが、途端に「うん?」。どら焼き屋の店長は驚いた。アルバイトの応募に訪れた高齢の徳江(とくえ)が手作りし置いていったあんである。これまでと全く異なる極上の味に非凡な腕前を悟る。 [全文を読む]

  • 7月10日
  • ▼▽印象派を代表するフランスの画家クロード・モネは港町ルアーブルを描いたシリーズ作品を残している。最も有名なのは印象派の語源にもなった「印象・日の出」。所蔵美術館から盗難に遭ったこともある名画である。 [全文を読む]

  • 7月9日
  • ▼▽ここ数日は過ごしやすい天気が続くが、例年、梅雨時といえばジメジメとして生乾きの洗濯物やカビが気になる季節である。梅と雨からなる「梅雨」はもともと中国で生まれ、江戸時代に日本に入ってきた言葉らしい。[全文を読む]

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