談話室

▼▽江戸時代後期に清貧、自由の生涯を貫いた僧良寛。歌人、書家として知られるが漢詩も多く残した。中にこんな一節がある。「花開く時蝶来(ちょう)り 蝶来る時花開く」。花にも蝶にも作為などない。互いに招き、導かれる。

▼▽その人の訃報にふと良寛の詩が浮かんだ。山形市の吉田コトさん。99年の人生は波乱に富む。20歳の頃「宮沢賢治名作選」の編集に関わった。没してからまだ5年。原稿は岩手・花巻の生家の柳行(やなぎごう)李(り)に入ったままだった。賢治の弟清六が手渡す原稿を、行李の蓋(ふた)に仕分けた。

▼▽「名作選」は無名だった詩人・童話作家再発見のきっかけとなる。高村光太郎ら文化人との交流も生まれた。私生活では22歳で結婚。子宝にも恵まれるが太平洋戦争のさなか、夫が病で半身不随になる。戦後は山形市に一銭店「天満屋」を開き、大黒柱として生活を支えた。

▼▽貧乏暮らしながら店には多くの人が訪れ、交流の場になった。人生相談を持ち掛けられたり、山形大の苦学生にはご飯を振る舞ったり。知的好奇心も衰えない。80歳を過ぎても週1回、東北芸術工科大に通って講義を聴講した。「時には蝶、時には花」を体現した人だった。

(2017/06/25付)
最新7日分を掲載します。
  • 6月25日
  • ▼▽江戸時代後期に清貧、自由の生涯を貫いた僧良寛。歌人、書家として知られるが漢詩も多く残した。中にこんな一節がある。「花開く時蝶来(ちょう)り 蝶来る時花開く」。花にも蝶にも作為などない。互いに招き、導かれる。 [全文を読む]

  • 6月24日
  • ▼▽明るく開放感が漂う今どきの「カフェ」と、薄暗く隠れ家的な「喫茶店」―。呼び名の印象がだいぶ異なる喫茶店とカフェだが、明確な違いはないらしい。あえていえば食品衛生法が分類する喫茶店のくくりだろうか。 [全文を読む]

  • 6月23日
  • ▼▽「ナポレオン」の花の蕾(つぼみ)から雄しべを取り除いて雌しべを露出させる。そこに「黄玉(きだま)」の雄しべを付着させ、古雑誌の紙を貼り合わせた袋で覆う。東根町(当時)の佐藤栄助は大正元年、サクランボの育種に乗り出す。 [全文を読む]

  • 6月22日
  • ▼▽サクランボシーズン真っ盛り。毎年この時季に合わせて山形市で開かれている催しがある。「鈍翁(どんのう)茶会」。今年は今週末の24、25日、県内外から茶道愛好家ら約600人がもみじ公園で知られる清風荘・宝紅庵に集う。 [全文を読む]

  • 6月21日
  • ▼▽「なんでだろう、なんでだろう~」。印象深い節回しに合わせ両腕をぐるぐる。テツandトモのギャグが一世を風靡(ふうび)したのは2003年のこと。トモこと石沢智幸さんが山形市出身とあって県民にはおなじみだろう。 [全文を読む]

  • 6月20日
  • ▼▽海鋒(かいほこ)義美(よしみ)さんの名を覚えている人は結構いるのではないか。去る18日に没後20年を迎えた天童市出身の音楽教育家。仙台で活躍し数々の童謡を作曲、東北各県の小中高校に校歌を残した。本県には50曲ほどあるそうだ。[全文を読む]

  • 6月19日
  • ▼▽亡父の剣術の門人だった男が上意討ちに失敗し、藩に討ち手を差し向けられる。男は粗忽(そこつ)者だったが、幼なじみで心寄せていた女は父親の秘剣の遺言を口伝する―。「玄鳥(げんちよう)」(藤沢周平著)は裁判官の胸を強く打った。 [全文を読む]

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