「山形には主な活断層が四つあり、過去に何度も地震が起きたとみられる。また、沖合には地震の空白域があり、決して油断はできない」。山形大の長谷見晶子教授(地震学)は語る。
1995年1月の阪神大震災を受けて設置された政府の特別機関「地震調査研究推進本部」は、大地震が発生する可能性が高く、社会的・経済的に大きな影響を与えると考えられる活断層帯を全国で110カ所選定している。本県では「庄内平野東縁断層帯」「新庄盆地断層帯」「山形盆地断層帯」「長井盆地西縁断層帯」が調査観測対象になっている。
特に注目されるのは「山形盆地断層帯(北部)」。今後30年以内にマグニチュード7.3程度の地震が発生する確率が最大8%とされ、全国主要断層の中では上から8番目に位置付けられている。
「30年以内で8%」という数字は、それほど切迫した数字には見えないかもしれない。しかし、実は阪神大震災の原因となった野島断層の発生確率と同じ数字だといえばどうだろう。
「野島断層について、地震発生前に評価が行われたとすると、30年以内の発生確率は0.02~8%程度であった。すなわち数%の確率は決して低くなく、むしろ可能性が高いと考えるべきである」(東京大学地震研究所監修「地震・津波と火山の事典」)
東日本大震災以降、国内では地震活動が活発化している。長谷見教授は「本県では福島との県境や月山付近で誘発地震が起きている」と話す。
同教授によると、今後の見通しについては二つのシナリオがある。一つは1896(明治29)年のケース。6月に岩手県沖を震源とする三陸地震津波が発生、その2カ月半後には秋田県東部で陸羽地震が起き、本県でも被害が出た。もう一つはこのまま沈静化するケース。
発生から3カ月。大きい余震は減少しつつあるように見えるが、「考えてもいなかった東日本大震災が起きてしまった。今後どうなるか予測することは難しい」。未曽有の大災害を体験した今、長谷見教授はあくまで慎重だ。
「山形も油断はできない」と語る長谷見晶子教授=山形市・山形大