-東日本大震災により、生活、消費行動にどのような影響があったか。
「最も困ったのがガソリンなどの燃料不足。県内では食料、日用品の買い物に車を使用する家庭がほとんど。まだ除雪が必要な時季で、除雪機の燃料がなく、苦労した家庭もあった。電池がないのも困った。一方、食料品などの買い占めが深刻な問題に発展することはなかったと思う。物資の供給が少なくなったことに、みんな落ち着いて対応したと受け止めている」
-家庭での備えに変化はあったか。
「4月にも大きな余震があった。各家庭ではあらためて懐中電灯やラジオ、水、缶詰、卓上こんろなど備えの大切さをかみしめたのではないか。がれきの中でも救助者に存在を知らせられる笛も用意しておくと安心だ」
-食卓を守る主婦の立場で原発事故への不安は。
「一刻も早い終息が望まれる。現在、県が山形市と米沢市の大気、水道水の放射性物質の値を毎日測定し、発表している。低い値なので大丈夫だろうと思うし、このように化学的に安全性を判断できる情報を開示することが大切だと思う。農産物、海産物についてもそうだ」
-各家庭でできる復興支援、地域振興支援は。
「県内では、長く安心・安全の農産物づくりが進められ、消費者団体としても地産地消を推進してきた。風評被害で、東北のもの全てが原発事故の影響があると思われ、海外への輸出にも支障が出ている中、助けていくのは私たち消費者。本県はもちろん、東北全体での地産地消を進めていかなければならない。旅行や観光に出掛けることも同様に大切だ。私たちは消費という形で地元を、被災地を支えることができる」
-夏場の電力不足に向け、各家庭にも節電が求められている。
「消費生活団体でも長く省エネを呼び掛けながら、なかなか深く浸透しなかったが、今回の震災で一人一人の意識が変わったと実感している。レジ袋持参運動の時もそうだが、みんなに必要性が理解されたことで、本県の持参率は全国に誇るレベルになっている。県民の意識は高い。節電の必要性や方法がしっかり周知されれば、大きな県民運動になる。家庭で節電することは産業支援にもなる。停電で産業が停滞すれば給料も減り、食卓に届かない物も出て、結局、家庭に返ってくる。大きな循環と考えて、取り組んでいこう。大きな運動もまずは一個人、一家庭から。県とも協力し、限りあるエネルギーをみんなで使っていこうと呼び掛けていきたい」
松岡由美子県消費生活団体連絡協議会長